築地で世界のお祝い料理を楽しむ会第10回ブルガリアレポート
2024年になり、今年1回目のお祝い料理会をいつもの築地魚河岸スタジオで開催しました。
遅らばせながらですが、今年もよろしくお願いいたします。
明けて災害や事故のニュースが飛び込みました。
まだまだ落ち着いた状況にはなっていないようです。
もし自分がそういう状況に置かれたら?と考えると、被災された方々の不自由で苦しい状況が身に迫ります。世の中、健康体の方ばかりではないし、小さいお子さんや日常的に介助が必要であったりお薬が必要な場合も多いですよね。
今までの日常が取り戻され、穏やかな日々が少しでも早く来ることを願ってやみません。
日本でも世界でも。
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余計なお世話で心苦しいですがこの場を借りて寄付金のURLをシェアいたします。
怪しいURLではないのでご心配なく。
日本赤十字社 能登半島地震災害義援金
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さて、今回のお祝い料理はブルガリアの新年を祝うチーズパイです。
講師はアントニオ・アンゲロフさん。まだ32歳と若いアントニオさんですが2014年から10年近く日本に住み、ブルガリアと日本の架け橋として活動されています。
今回用意した食材はチーズをはじめ乳製品中心で、作った3品すべてにヨーグルトが使われました。
ブルガリアの食といえば・・・そう、ヨーグルトですね。
ブルガリアでは年間で日本人の5倍もヨーグルトを食べるそうです。
ヨーグルトそのものを食べるだけでなく料理に使う機会が多いそうで、
講師のアントニオさんいわく“ヨーグルトは日本の味噌のような存在”なのだそう。
その表現はとても分かりやすく、かつ新鮮です。
わたしはヨーグルトそのものは夏の一時期くらいしか食べません。
冷たくて体が冷える感じがして、夏以外にヨーグルトを食べるのは苦手でした。
でも“味噌のようなもの”ととらえ直すと、使う機会はさまざまに増えそうです。
こういうちょっとしたことに料理のヒントを感じて嬉しくなります。
もう少しヨーグルトの話を続けると日本で販売されている「ブルガリアヨーグルト」ご存じですよね?これは国の名前がついているのにいち民間企業のつくった商品名です。
こういう風に国の名前がついていることが「ブルガリアといえばヨーグルト、ヨーグルトといえばブルガリア」というイメージが定着するのに大いに貢献しました。
ブルガリアヨーグルトの当初の商品名は単なる「プレーンヨーグルト」だったそうなので、
もしそのまま「プレーンヨーグルト」が商品名になっていたら、ヨーグルトといえばブルガリアというイメージを日本人は持つようになっていたのでしょうか?
なかったのかもしれない・・・そう思うと不思議です。
国のイメージを左右するほどの影響力を持つのだから、広告効果ってやはり侮れません。
講座の中でも「明治ブルガリアヨーグルト」が発売される際のブルガリアとの面白いお話も聞くことができました。国名を商品名にする一連のやり取りなど。
そしてなんと今年「明治ブルガリアヨーグルト」販売50周年だそうで、今回用意した16人分のヨーグルトのパッケージを見てください。遠いむかしスーパーで見たかもというような復刻版パッケージも混ざっています。こんなのもあったね!と懐かしい方もいるのではないでしょうか?
えーと、明治ブルガリアヨーグルトの話がしつこい(笑)
明治の回し者ではないのでヨーグルトの話はこれくらいにしようと思うのですが、3品すべてにヨーグルトが入っているのでまたヨーグルトの話に戻るかもしれません(笑)
さて今回のお祝い料理のチーズパイ、ブルガリアではお正月のみではなく日常でも食べられる料理なのですが、中にくじを入れて焼くと、今年の運が占える新年のお祝い料理のチーズパイになります。くじは自分で書いてアルミホイルに包んでパイの中に投入します。
つまり自分で希望を書いてそれが当れば叶うのです。面白いですね。
こういうおみくじ的なものを入れる食べ物は縁起菓子にみられ、日本ではやはりお正月向けの金沢や伏見稲荷の辻占いせんべいが有名です。
海外ではフェーブ(陶器の小さい人形)を入れて焼くフランスのガレット・デロワやアメリカのフォーチュンクッキーなどがありますね。
お菓子以外の料理でこういうものは初めて聞いたので興味津々です。
くじの内容は日本のおみくじのような道徳的な感覚はなくて、例えばどんなことを書くかアントニオさんに伺うと「新車とか。」とのことで、そう来るのか!と面白く感じました。
あくまで希望なのだから素直にほしいものを書こう!なんだって良いのです。
皆さん思い思いにくじを書いてパイに投入しました。
どのようなお願いを書かれたのでしょうね?
わたしは時間がなくてあせって書いたつまらない↑お願いがスタッフのNさんに当ってしまい、大変申し訳なかったです。ちなみにわたしはNさんの書いた「今年ブルガリア旅行に行ける」という最高のくじを引きました。Nさん・・すみません・・!
そんなこんなで美味しそうに焼けたチーズパイがこちらです。よい焼き目がつきました。
パイ皮はパートフィロという一枚一枚が和紙のように薄い生地を使っています。中東のお菓子バクラバなどに使われますし、一部ヨーロッパでもお菓子やお惣菜づくりに欠かせないものです。
とっても薄いので取り扱いは要注意!カロリー的にはバターたっぷりのパイ生地より軽く、罪悪感少なくてヘルシーじゃないでしょうか?
そして焼いている間にローズジャムとヨーグルトとブルーベリーのデザート、そして目玉焼きを。
デザートはヨーグルトにハチミツとローズジャムをたっぷりめに入れるので甘いですが、普段はハチミツならハチミツ、ジャムならジャムとどちらかしか入れないので、わりと単純な甘みになっていたのかもと思いました。両方入れると奥行き感のある豊かな甘みを感じます。
私だけじゃないと思いますが、甘くなる事への過剰な警戒感、ないですか?
海外の料理においてはそれを取り払うのがマジで肝要です!
うす甘いものを結果的に多く摂ってしまうよりも、ちゃんと甘いものを少量食べる幸せってありますよね?
そして最後につくったのが目玉焼きですが、ブルガリアのパナギュルスキという南西部地方の郷土料理だそうです。現在はパナギュルスキ地方だけでなくブルガリアのポピュラーな目玉焼きだそうで、「これ単なる目玉焼きでは?」と思ってほしくない素晴らしい料理でした。
目玉焼きの下にフェタチーズとヨーグルトを混ぜたソースをしきます。そして焼いた目玉焼きの上にバターとパプリカのソースをかけます。簡単なのにいろんな味がしてすごく美味しい。
食材があれば家での再現がすぐできるところが良いですし、フェタチーズじゃなくてもう少し身近なカッテージチーズなどでも良さそう。オイルとスパイスのテンパリングソースをかけるとこんなに目玉焼きが豊かになるなら、カレー系スパイスも合うだろうし色々ためしてみたくなりました。
お料理が完成し試食を楽しむ皆さんです。
その後アントニオさんよりブルガリアについてレクチャーいただきました。
アントニオさんは日本のゲームを好きになったことから日本や日本の文化に興味を持ち、勉強をして優秀な成績をおさめ、留学生として来日されました。とても努力家で真面目な方です。
たくさんの資料を用意いただいてありがとうございます!
今年一回目の楽しく有意義なお祝い料理会を和やかなうちに終了しました。
ご参加の皆さま、アントニオさんありがとうございました。
次回は3月の予定です。(国はまだ未定)お楽しみに!