夏の旬野菜の代表格、ナス。和洋中のみならず、世界中にナスの美味しいレシピが沢山あって、これからの季節あれもこれも食べたくなります。なのですが、ナスは油と相性が良いだけに、ギトギトになったり、キレイな紫が茶色に変色してしまったりと、美味しさの期待値を半減させてしまう事も多々。
大量の油を吸ったナスを見て軽く引いた経験は誰しもあるのでは?
そこで、アルメニアのナス料理講座もあることだし、ギトギトさせずに美味しく食べる方法を探っていきたいと思います。
まずナスのカロリーから見ていきましょう。ナスはそのほとんどが水分なので、100gでカロリー22㎉と結構低いです。ししとう、春菊、ニラなどとグラム当たり同じようなカロリー。ただし問題となるのはナスの果肉の性質で(これが美味しい元でもあるのですが)スポンジ状になっているために油をぐいぐいと吸ってしまいます。油で揚げたナスは22㎉から一気に184㎉にアップ。これは大さじ1強の油を吸ったためで、つまり100gの揚げナスを食べるたびに大さじ1強の油を飲んでいることになる・・・これは引きますね。
とても美味しい夏の旬野菜、ナスを油を気にせずもっと食べたい!
そんな私たちのために、できるだけ油を吸わせない方法はないのでしょうか?
今回は私が有力と考えた情報に基づいて検証してみました。
どんな方法があるのか
とりあえずネットで色々調べたところ、大きく分けて二つのやり方がある事が分かりました。そこで試してみたのは6通りの方法。
① 全体に直接塩を振って10分経ったら軽く洗って水けを拭く。
② 3%塩水に10分浸けて水気を拭く。
③ 普通の水に10分浸けて水気を拭く。
④ 全体に塩を振って10分経ったら軽く洗って水気を拭いたものを油でコーティングする。
⑤ 3%塩水に浸けて水気を拭いてから油でコーティングする。
⑥ 10分普通の水に浸けて水気を拭いてから油でコーティングする。
ナスは、1本を5~6枚の縦スライスにしています。乱切りや輪切りでも概ね同じ結果が得られると思いますが、細かくカットすればするだけ表面積が増えて、油をよく吸うようになるという事は言えます。これは塩分にも同じことが言えて、具材を小さくすると、素材そのものの味がうすれるのと、表面積が増えるために、塩分がを感じにくくなって味付けが濃くなります。油もよく吸います。中華の炒め物がカロリー高め塩分高めになるのはそんな理由もあります。今日のお題とは関係ないですが、覚えておいて損はないですよ。
さて、塩水に浸ける方法、これはあく抜きとしてもよく聞きますが、直接塩を振るのはイタリアのやり方だそう。今までやったことがないのでぜひ試してみたい。
それに加えて、油でコーティングするというのは初めて聞く話ですが、油を吸わせたくないのに油でコーティングするのは逆に良くないのでは?とも思います。
が、これを強力に勧めているウェブサイトがいくつかあって、意外でしょ?やってみなよ!て感じで推してるので、ものは試しでやってみます。コーティングの方法は、カットして水気を拭いたナス1本分をボウルに入れて、油を大さじ1位かけて全体にまぶしました。
実際焼いてみる
左上が3%の塩水、右が普通の水、下が直接塩を振ったもの。10分置いたところです。
直接塩を振ったナスはかなり汗をかいて水気が出ました。味をみると結構塩気があるので、さっと水洗いしてから水気を拭きます。
3%の塩水と普通の水に浸けたナスは、見たところさほど変化はない感じでそのままキッチンペーパーで水気を拭き、フライパンに並べて焼いていきます。
フライパンを十分熱してから、大さじ1~2位の油を入れ、①②③のナスを並べます。
両面5~6分焼くと十分な焼き目がつきました。
トレーにキッチンペーパーを敷き焼いたナスを並べます。数分もするとキッチンペーパーにかなり油が染みてきました。3通りとも見た目にはあまり変わりがないように見えますが、うーんどうだろう・・。見た感じの結論から言うと、、、
どれも油吸っちゃってる!!
直接塩を振ったナスは若干ましなようですが、3%の塩水ナス普通の水ナスとも、元気よく油吸ってます。多分、これは推測ですが、塩水は有効なんでしょうが、3%で10分位だと効果あるところまではいかないようで、もう少し濃い塩水(5~10%位?)にすれば効果が変わってきそうではありました。
それと、この時点の仮定として、いくら塩を振ったり塩水に浸けたからとて、フライパンに入れる油の量、これを多くすると、当然だけど、ナスはあるだけの油分を吸おうとするので、油断せずに油を断つ必要があるのではないかという事。
なんとなく気持ちが振り出しに戻りましたが、、まだ油コーティングが残っているので、こちらに望みを託しましょう。
油コーティング方式で焼いてみる
① ②③のナスにそれぞれ油コーティングして、フライパンに油を足さずに(←ここがミソ)並べました。
そうすると、明らかに違いが目に見えてきました!(多分写真ではよく分からないけど)
これは意外でしたが、油でコーティングしているため、焦げ目がなかなかつかないです。油っ気のないナスの方が表面にすぐ焦げ目がついてくるんですね。なかなか焦げないことで長時間加熱することになります。そうすると、それで果肉が蒸し焼きになってるような感じです。蒸しナスに近いかもしれない。使った油はコーティングした分のみなのですが、変にかさつく事もなく、中身がふわっと焼けてきました!焦げ目がつかないので塩の方より数分長めに焼いたでしょうか。
さて、これで6通りの焼き方が終わりました。
写真だとあまり違いが分からないですが、上段の方がキッチンペーパーが透けるくらい油が染みだしてますよね。
皿に並べて試食します
油コーティングしたものの方が、してないものに比べてふわっと火が通っていて、油の量自体はコーティングした分のみなので、口に入れた時に油が沢山入ってきた!という感じはないです。蒸しナスとたっぷり油で焼いたナスの中間みたいな感じでしょうか。油が少ないことによるカスカスヨレヨレな感じもなし。
それに比べると、塩の方は、フライパンに油をしいてから焼くことに変わりはないので、どうしても油を吸っちゃいます。
イタリア方式で直接塩をしたナスは、塩をしたことにより若干身が縮んでいるので、少しふっくら感に欠けるけど、他の二つよりは油を吸わないし、少し塩味がついていて美味しかった。(油という本題には関係ないか)
順位を付けると
1位 ⑤ 3%塩水に浸けて水気を拭いてから油でコーティングする。
2位 ⑥ 10分普通の水に浸けて水気を拭いてから油でコーティングする。
3位 ④ 全体に塩を振って10分経ったら軽く洗って水気を拭いたものを油でコーティングする。
4位 ① 全体に直接塩を振って10分経ったら軽く洗って水けを拭く。
5位 ② 3%塩水に10分浸けて水気を拭く。
6位 ③ 普通の水に10分浸ける。
こんな結果になりました。
結論として油ギトギトにせずに美味しく頂く方法は、
「塩したり塩水に浸ける時間がなくても、油コーティングだけは欠かさずする。コーティングした分だけの油で焼く事。」これが今のところ一番有効そう。
塩の効果は今回はそこそこしかなくて、結局フライパンに入れる油の量でかなり変わってくる。それとイタリア方式は置くのは10分位が限度で、それ以上やると単なるナスの浅漬けになります。塩をすれば身が縮むからそんなに油は吸わないけど、じゃあそれが今回のベストなのかと言われると、違うような気がする。よけいな下味を付けたくない場合でもうっすら塩味がつくし。ナスの美味さは沢山含んだ水分にもあるので、そこは出来るだけキープしたいという事に反してしまいます。でも油ギトギトに対する一定の効果はアリ。
油コーティングの成果は意外でした。油を制するには油を使う?なんか真理(笑)ですね。
コツとしては、油コーティングする際、カットしたナス全体にゆき渡るようにすること。
そうすることで余計な油を吸うことなく蒸し焼き状態にもっていけます。ボウルに油を入れて、ナスをさっとつけてフライパンに置いていくのでも良いかもしれない。そこはもう少し創意工夫の余地ありそうです。
アルメニア料理講座でもこの成果をいかしてレクチャーしたいと思います。
皆さんもぜひ油コーティングでふっくらナス焼きを試してみてくださいね。
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次回は私が30年来続けている、ナスの綺麗な紫を保つ蒸しナスのレシピをお伝えします。当分ナス続きます!