古代夏至祭りに参加しラトビア人の夏の家に滞在して、最後はファームステイの話です。
ファームステイと言ってもわずか1泊。そんな駆け足で来ても分からないよ、と多分笑われてしまうような滞在なのですが、時間がないのでしょうがない。その素敵な暮らしぶりのほんのおこぼれに預かってきました。
ラトビア人の夏の家で夏至祭を過ごした翌日、そこから少し北のリンバジという町のファームへ。リンバジへは車で1時間弱。ファームのご夫婦が車で迎えに来てくれました。
ここのお父さんはラトビアの伝統的な太鼓の作り手でもあり、クワクレ(木の魂という意味)というラトビアの民族楽器を弾くガイドの明子さんとは旧知の中。何を話してるのかは分かりませんでしたが、お父さんもお母さんも明るくお喋りで、車中の話も弾んでいました。話によるとご夫婦の娘さんは英語が話せるそうですが、休暇でリトアニアに行ってしまったとのこと。また、私たちが来てから一緒に篝火を焚こうと思い、昨晩の夏至祭は何もしなかったとのこと。これで今回の旅3回目の篝火体験になります!またここではスペシャルイベント、ラトビア伝統のサウナに入り、身も心も真っ裸になりました。
ファームは白樺林のそばの小川の上手にあって、丘を上るとまたもや一面の花盛りが広がります。ご夫婦は鶏と山羊とアヒルと猫を飼い自家菜園を持ち、半自給自足の生活の様子でした。まるで絵本の世界です。
ファームに到着すると、留守番をして腹ペコになっていた動物たちの食事が始まりました。
草原に放たれた山羊たちは首輪の鈴をカランカランと鳴らしながら草を食み始め、アヒルは慌ただしく鳴きながら一斉にトタトタトタ~と草地に向かいます。
本当にのどかな風景で、幸せそうな動物たちの様子にすっかり和まされ満たされます。
なぜか鶏舎の外に一羽の立派な雄鶏がいて、この一羽だけ一家のペットなのか自分は特別とばかりに周りを睥睨して歩き回っていました。お母さんが通ると慌てて後を追ったりして可愛いのです。
そこに灰色のふわふわの猫がお出迎えしてくれました。
ラトビア人はかなりの猫好きだそうで、リガの街中にも「猫の家」があったり、スィグルダでは「猫ホテル」に泊まりました。猫デザインのラトビアユーロコインも確かあったと思います。この猫はこのあと、私が外のベンチに座って花冠を作っているとやってきて、ちゃっかり膝に乗ってゴロゴロ言っていました。
それにしてもこの広いファーム中を好きに歩き回れるなんてかなりの幸せ猫です。私がファームの周囲を散歩しようと川に下りるとついてきて、木道を歩いていくのをきちんと膝を揃えて見送ってくれました。
それほど自由にしていられるのは、猫を襲う類の動物があまりいないからのようでした。多分地方によってはいるのでしょうが、私はコウノトリくらいしか動物は見かけませんでした。というか猫は意外と強くて、逆に小動物を襲うくらいなのかな、分からないけど。
さてファームのお母さんと明子さんとお伽の国のアクティビティ、花摘み&イチゴ摘みに行きました。イチゴは一個が1センチあるかないかの小さなものですがちゃんと甘かった。3人で一心に摘みボウルにいっぱい集め、これは翌日の朝食のデザートになりました。
ガイドの明子さんは昨晩の夏至祭の疲れで少し仮眠をとり、私は猫を膝に乗せて花冠を作りました。
ちなみにここは明子さんの知っているファームでしたが、ラトビア全土にこのような家族経営のファームがあって、ラトビア民宿連盟のWebサイトから予約もできます。英語で規模や金額、内容の詳細説明もあり、このファームにも過去数組の日本人が訪れたようです。
一泊二食付きサウナつきで一人5〜6千円ほど。最寄りの駅までの迎えや送りもしてくれます。ただしこのファームはトイレは外でシャワーもありません。(ファームによる)
前日のラトビア人の夏の家でも、トイレは外だしシャワーもなかったので2晩着たきり雀でしたが、3月くらいの涼しい気候で全く汗をかかないので、どこかの時点で”別にどうでもいいやスイッチ”が入ってなんとも思いませんでした。旅行中くらいいいやと割り切れないとちょっときついのかも。
さて、夕飯は庭の東屋で、お母さんの作った心づくしの料理とお父さんが川で釣ったパイクを頂きました。
このあと生憎雨が降ってきて、なかなか止む様子がなかったため今回3回目になるはずだった夏至の篝火は行えませんでした。その代わりにお父さんがラトビアの伝統的な太鼓を演奏してくれました。
最後は夏至祭バージョンのスペシャルラトビアサウナです!